フォークリフトの無資格運転は違法?罰則を解説
無資格でフォークリフトに乗った場合
運転者・雇用者に対する罰則
普通自動車同様に、無資格運転は違法です。違反者には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。また無資格運転が発覚した時には運転者だけでなく事業者も罰則を科せられることになり、属している会社にも多大な損失を与えてしまうため、無資格でフォークリフトを運転する事は絶対にしないようにしましょう。無資格者が勝手に運転をして事故を起こした際も、会社の管理不足を問われるため、会社側も資格保有の確認や安全教育は必要です。
無資格運転による事故事例
フォークリフトの運転資格を持っていない人が運転中、急な旋回によりフォークリフトが横転し運転していた作業員が運転席から投げ出され、転倒したフォークリフトのヘッドガード部分に挟まれ死亡した事例があるようです。
フォークリフトの運転資格
フォークリフトを運転するには、労働安全衛生規則で定められた特別教育、または技能講習を修了する必要があります。
安衛法第59条第3項「事業者は特別教育を行わなければならない」
安衛法第61条第1項「事業者は技能講習修了者など有資格者でなければ業務に就かせてはならない」
最大荷重1トン未満の場合
特別教育を修了する必要があります。フォークリフトの運転(公道の走行は除く)の業務に労働者が従事する場合、安全または衛星の為の特別な教育が必要と義務付けられています。
既定の教育(学科6時間、実技6時間)を修了すれば、終了証が交付されます。
最大荷重1トン以上の場合
運転技能講習を修了する必要があります。各都道府県労働局に登録した教育機関で受講する事ができます。普通自動車免許や大型免許などの取得状況や経験によって、必要な講習時間が変わりますので、下記の表をご参照ください。
運転免許やフォークリフトの経験 | 講習時間 (学科)/時間 | 講習時間 (実技)/時間 | 合計/時間 |
---|---|---|---|
①普通自動車免許・大型自動車免許・大型特殊免許の3つのうちのいずれか1つ+1t未満フォークリフト経験3ヶ月以上 | 7 | 4 | 11 |
②1t未満フォークリフトの実務経験6ヶ月以上(免許は無し) | 11 | 4 | 15 |
③普通自動車免許(フォークリフト運転経験無し) | 7 | 24 | 31 |
④自動車免許も運転経験も無し | 11 | 24 | 35 |
公道を運転する場合
フォークリフトで公道を運転する場合には、フォークリフトの運転資格に加えて自動車運転免許も必要になります。自動車免許は小型特殊自動車免許、新小型特殊自動車免許、大型特殊自動車免許の3種で、フォークリフトの大きさに応じて変わります。
下記をご参照ください。
免許の種類 | 小型特殊免許 | 新小型特殊免許 | 大型特殊免許 |
---|---|---|---|
全長 | 4.7m以下 | 4.7m以下 | 12.0m以下 |
横幅 | 1.7m以下 | 1.7m以下 | 2.0m以下 |
高さ | 2.0m以下 | 2.8m以下 | 3.0m以下 |
最高速度 | 15km/h以下 | 15km/h以下 | 35km/h以下 |
フォークリフトが小型特殊自動車か新小型特殊自動車に該当する場合は、市区町村の役所に申請をし、ナンバープレートを取得する必要があります。大型特殊自動車は、車検場での登録になります。
また、上記の免許を取得しても、荷物を積載したまま公道を走ることはできませんので注意しましょう。
運転技能講習修了証を紛失した場合
フォークリフトの免許は一度交付されると更新する必要がなく、自動車運転免許証のように常に携帯が必要なわけでもありません。更新や管理の煩わしさが無い反面、しまった場所を忘れてしまったり、就職先から提出を求められた場合など必要になった時に見つからないというケースをよく聞きます。見つからず紛失してしまった場合には、再発行する事が可能です。
技能講習修了証明書発行事務局で再発行の手続きを行う必要があります。
(厚労省HP技能講習終了証明書発行のご案内:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/gino/)
再発行には下記の物が必要になります。
- 再発行手続き申請書(ダウンロードまたは電話問い合わせ)
- 証明写真
- 本人確認書類の写し
- 再発行手数料(2~3,000円程度)
- 郵送費用(簡易書留、封筒、切手)
紛失した場合は早めに再発行を行うようにしましょう。
資格がいらないフォークリフト
ハンドリフト
ハンドリフトは、人が手押しで小型の荷物を運搬するもので、フォークリフトとは異なり免許や資格が不要で、慣れれば誰でも使えます。
ハンドリフトは、前面に取り付けられたフォーク(爪)をパレットに差し込み、ハンドルを手前に引くと、油圧によって荷物を移動させることができる構造になっています。
フォークリフトは車のように運転操作ができるのに対して、ハンドリフトは人の力で移動操作します。積載量が最大1500kgの製品が最も多く使われていますが、700~5000kgまでの荷を積載できるものまで各種用意されています。フォークリフトほど重たい荷物は運べませんが手動ならではの小回りが利き、正確に荷物を動かすことができ便利です。
ローリフト
ローリフトはバッテリーを搭載した自動運搬ができるハンドリフトのことです。
フォークリフトと異なり、マストがなくフォークが昇降しないため、ハンドリフト同様に免許や資格の取得は不要です。操作性に優れ、速度の調整はもちろんバッテリーアシストで長い距離やスロープの走行も簡単に行えます。
まとめ
繰り返しになりますがフォークリフトの無資格運転は違法行為であり、発覚した場合には重たい処罰が科せられます。事業主の管理責任も問われるため、会社側も免許保有状況や 安全教育を怠らないよう注意しましょう。紛失をしてしまった場合も焦らず再発行の手続きを行いましょう。免許や資格で行える業務の範囲をしっかりと理解した上で、実務を行うようにしましょう。