フォークリフトの各部名称と用語を解説
フォークリフトの各部名称と用語を理解する目的
実際の物流現場において、フォークリフト作業に関する指示、指導の中でたくさんの各部名称や用語が出てきます。
用語を知らずにフォークリフト作業を行うと、上司や教育者からの指示を間違えて認識をしてしまい、誤操作や事故に繋がる可能性があります。
実際に物流現場で上司からの指示に的確に従い作業を行えるように、フォークリフトの各部名称や用語をしっかり理解しておくようにしましょう。
作業開始前点検や月例点検の実施においても、各部名称についての知識が必要です。
カウンターフォークとリーチフォークの違い
カウンターフォークリフトの特徴と各部名称
座って乗るタイプの一般的なフォークリフトで、転倒しにくく作業効率が良い反面、ボディーが比較的大きく小回りが利きにくいという面もあります。
屋内、屋外ともに利用でき、重い荷物を運ぶのに便利です。
車体各部の名称
- マスト
フォークを上下させるために必要なレールの役目をしているものです。 - バックレスト
パレット等に積み重ねられた複数の荷物・袋物など、フォークの上に積載した物がマストの後方に落下することによる危険を防ぐための荷受け枠のようなものです。 - チルトシリンダ
フォークを前傾・後傾させる働きをしています。 - 駆動輪(前輪)
前方についているタイヤです。 - 操向輪(後輪)
後方についているタイヤです。乗用車と違いフォークリフトは後輪操舵になります。 - バランスウエイト(カウンタウエイト)
車体後部にある重りの事で、前方で重量物を積載した際でも車体が前傾しないようバランスを取る役割があります。 - ヘッドガード
フォークリフトの屋根の部分に取り付けられており、荷物が落下してしまった際に運転者を守るためのものです。 - リフトチェーン
リフトシリンダーの内側の左右に取り付けられているチェーンのことです。
運転装置周りの各部の名称
- ハンドル
フォークリフトの進む方向をコントロールします。左手でノブ部を軽く握り操作します。 - 前後進レバー
前進、後進を切り替えるためのレバーです。 - サイドブレーキ
上図のような足踏み式のものは、このペダルを足で踏んで押し込むことで「カチッ」という音がしてサイドブレーキが効きます。解除する時はこのペダル式の部分ではなく、ハンドル左下あたりに青色部分の解除レバーがあるので、それを手前に引く事でサイドブレーキが解除されます。 - クラッチペダル(クラッチ式)
マニュアル式の乗用車の同じように、発進時には半クラを用いてギアを繋ぎます。
ゆっくり発進し、徐々にアクセルを踏み込み加速します。 - ブレーキペダル
速度を落としたり停車させたりするペダルです。 - アクセルペダル
発進させたり速度を上げたりするペダルです。 - サイドシフトレバー
バックレストとともにフォーク位置を左右両側に100ミリ程度ずつスライドさせるためのレバーです。 繊細な位置調整や倉庫内で荷物を密着させたり積み上げるときに活躍します。 - チルトレバー
フォークの角度を変えるためのレバーで、レバーを後(手前)に引くとフォークが後傾し、前方へ押すとフォークが前傾します。カウンターフォークではマストごと傾きます。 - リフトレバー
フォークを上げ下げするためのレバーで、レバーを後(手前)へ引くとフォークが上昇し、前方へ押すとフォークが下降します。積荷を急降下、急上昇させないよう注意しましょう。 - ホーンボタン
周囲への注意喚起の際などホーンを鳴らすためのボタンです。
↓フォークが水平かどうか一目でわかる!!
リーチフォークリフトの特徴と各部名称
立って操縦するタイプのフォークリフトで、中央のレバーでツメを前後に動かすことができます。フォークリフトの前進後退を手元のレバーで行い、ボディーが比較的小さく小回りが利きます。
屋内作業で使われることが多く、小回りが利くため特に狭い倉庫内での荷役に活躍します。
全体各部の名称
- ヘッドガード
フォークリフトの屋根の部分に取り付けられており、荷物が落下してしまった際に運転者を守るためのものです。 - マスト
フォークを上下させるために必要なレールの役目をしているものです。 - バックレスト
パレット等に積み重ねられた複数の荷物・袋物など、フォークの上に積載した物がマストの後方に落下することによる危険を防ぐための荷受け枠のようなものです。 - バッテリー
充電することで電気エネルギーを化学エネルギーに変換して蓄え、再び電気エネルギーとして放電してフォークリフトを動かします。 - ロードホイール(タイヤ)
前方左右に付いているタイヤです。 - フォーク
荷物を持ち上げる2本の爪部分の事です。 - ブレーキペダル
ブレーキペダルを踏むことでブレーキが開放され、走行回路が繋がります。反対に、放せばブレーキペダルが戻りブレーキが効きます。カウンターフォークリフトのブレーキとは反対なので注意しましょう。
運転装置周りの各部の名称
- リフトレバー
フォークを上げ下げするためのレバーで、レバーを後(手前)へ引くとフォークが上昇し、前方へ押すとフォークが下降します。積荷を急降下、急上昇させないよう注意しましょう。 - チルトレバー
フォークの角度を変えるためのレバーで、レバーを後(手前)に引くとフォークが後傾し、前方へ押すとフォークが前傾します。 - リーチレバー
フォークをマストごと前後移動させるためのレバーで、レバーを後(手前)へ引くとマストが後退し、前方へ押すとマストが前進します。 - 走行レバー
車両の前進、後進やスピードの調整に使用するレバーです。
前進する時はレバーを前に倒し、後進する時はレバーを後ろに倒します。走行レバーの多押し加減で速度を調整します。 - ステアリングハンドルノブ
左手でステアリングハンドルノブを持ってハンドル操作を行います。
フォークリフトの主要諸元・用語解説
【基準荷重中心】
フォークリフトに積載した荷重(荷重の中心位置)の重心位置とフォーク垂直前面との距離をいい、特に、JIS D6001の表2に示された数値を基準荷重中心といいます。
定格荷重(kg) | 〜1000 | 1000〜5000 | 5000〜15000 | 15000〜24000 | 24000〜 |
---|---|---|---|---|---|
基準荷重中心(㎜) | 400 | 500(600) | 600 | 900 | 1200 |
【最大揚高】
基準負荷状態からフォークを最高位置に移動した場合、地面からフォーク水平部の上面までの高さをいいます。
1トン~3トンクラスのマストの高さ、各メーカーが準備しているマストの種類
2500 | 2700 | 3000 | 3300 |
3500 | 3700 | 4000 | 4300 |
4500 | 5000 | 5500 | 6000 |
- ※ 3mマストは標準高さです。
- ※ 一般的に3m以下のマストは低マスト、3m以上のマストは高マストといわれています。
【フリーリフト】
基準無負荷状態でマストを垂直にし、フォークを最低位置からマスト高さを変化しないで揚げることのできる最大の揚高で、地面からフォーク水平部上面までの高さをいいます。
【ティルト(チルト)角】
基準無負荷状態からマストを前後に傾斜した場合、垂直位置から前方(前傾)及び後方(後傾)への最大傾斜角をいいます。なお、リーチフォーク形ではマストは垂直のままでフィンガバーまたはフォークのみ前後傾します。
【ティルト(チルト)角度】
種類 | 前傾角 | 後傾角 |
---|---|---|
カウンターバランスフォークリフト | 6 | 12 |
リーチフォークリフト | 3 | 5 |
オーダピッキングトラック(チルト無し) | – | – |
ウォーキーフォークリフト | 3 | 10 |
【フォークの長さ】
フォークの根元(立ち上がり部)からフォーク先端までの長さをいいます。
一般的なフォーク長さの種類
620mm | 770mm | 850mm | 920mm | 1070mm |
770mm | 920mm | 1070mm | 1220mm |
770mm | 920mm | 1070mm | 1220mm | 1370mm |
1520mm | 1820mm | 2000mm |
920mm | 1070mm | 1220mm | 1370mm | 1520mm | 1670mm |
1820mm | 1970mm | 2000mm | 2200mm | 2300mm | 2400mm |
1070mm | 1220mm | 1370mm | 1520mm | 1670mm |
1820mm | 1970mm | 2100mm | 2200mm |
1070mm | 1220mm | 1520mm | 1820mm | 1970mm |
2000mm | 2100mm | 2200mm | 2400mm |
1220mm | 1370mm | 1520mm | 1820mm | 1970mm |
2200mm | 2400mm |
※あくまで上記は一般的、汎用的なフォークサイズになります。
フォークリフトの差し込み長さが一目でわかる
フォークの突き出しを完全に抑制!!
【最高速度】
フォークリフトの最大積載荷重やメーカーによって異なるので事前によく確認しましょう。
【最小旋回半径】
基準無負荷状態での前進時最大かじ取り角、最低速度での旋回時に車体の最外部の描く軌跡の半径をいいます。
【最小直角通路幅】
基準無負荷状態でフォーク間隔を最大に広げた車両又はこれに荷重を積載した車両が旋回できる直角通路の理論的最小幅をいいます。
【直角積付け通路幅】
所要の荷重を積載し直線通路上で90°旋回できる理論的最小通路幅。
【全長】
基準無負荷状態で車両の最大の長さをいいます。
【全幅】
基準状態での車両の最大幅をいいます。
【最大揚高時高さ】
基準無負荷状態でマストを垂直にし、フォークを最大に揚げた状態での車両最上端までの高さをいいます。
【マスト高さ】
基準無負荷状態でマストを垂直にし、フォークを最低に降ろした状態でのマスト最上端までの高さをいいます。
【ヘッドガード高さ】
基準無負荷状態で、地面からヘッドガード最上端までの高さをいいます。
【軸距(ホイールベース)】
前後車軸間水平中心距離をいいます。
【前輪輪距・後輪輪距】
前輪および後輪の各左右タイヤの接地面での中心距離をいいます。
【最低地上高】
基準無負荷状態で車輪の付近を除き、走行時地面とのすきまが最小となる部分の高さをいいます。
【基準無負荷状態】
マストを垂直にし、フォークを水平にし、フォーク上面を地上300mmとした無負荷状態をいいます。
(リーチ機構、アウトリガを有するものはリーチを完全に戻しアウトリガを引き込めます)
【無負荷状態】
車両が燃料、冷却水、潤滑油、作動油等を積載して稼働に必要な整備をし、荷重を積載しない状態をいいます。
【基準不可状態】
基準荷重中心に最大荷重を積載し、リーチ機構をもつものには、リーチを完全に戻し、マストを垂直にし、フォークを水平にし、フォーク上面を地上300mmにした負荷状態をいいます。
【負荷状態】
車両が燃料、冷却水、潤滑油、作動油等を積載し稼働に必要な整備をし、荷重を積載した状態をいいます。
まとめ
フォークリフトの各部の機能や用語を正しく理解し、安全に作業するようにしましょう。